CBXエンジン フルオーバーホール 2011 No.2分解
今期2機目の分解作業です。
エンジン始動可能で走行も一応可能との事でしたが、オーナー様が液圧縮した事を自覚されており、またそれからカタカタと異音もするようになったとの事でした。
走行出来る物はテスト走行を行ってから作業に入るのが通常の手順ですので一応走行したのですが、信号2つで直ぐに引き返して来ました。やはりエンジンの異音が大きく、これ以上何か破損させても仕方がないと判断しました。
エンジンを降ろしオイル漏れが酷かったので一回り点検してみると、、、
テンショナーBロックボルト&ナットが既に有りません。シールも入っていなければ、ヘッド側には何か残った状態でボルトが欠落しています。当然ネジ山も崩れていますのでここは修正しボルト&ナットは中古部品を探さなければなりません。
カム山、ジャーナル等を確認しながらカムシャフトを外します。テンショナーBには大きなクラックが入っているのが見えますが、ここ数年こういった状態の物がとても多くなってきています。
ヘッドを外しピストンの高さを比べると明らかに#1ピストンの高さが低い事が解ります。この時点で液圧縮でコンロッドが曲がってしまっている事が判明しました。
シリンダー、ピストンを外してみると、見事なまでに#1コンロッドが曲がっております。流石にここまで曲がっているとピストンが首を振ってしまって異音が出てくる様です。
ひっくり返してオイルパンから外すのですが、何やらストレーナーに大きなスラッジらしき物が滞積しており、目詰まりをおこしています。スラッジの正体がなんとも不明なのですが、首を振ったピストンの削れた物が焼けた物かシリンダーの削れた物ではないかと思われます。どちらにせよこれほど目詰まりをおこしていると実質的な油圧も下がっていた物と思われます。
クランクケースを割り、ミッション・プライマリー・シフト関連を外せばおおよそ分解作業は完了です。ギヤの欠けや割れ、その他目視で点検出来る部位は確認しながら外していきます。
ヘッド廻りの分解は、専用ツールを使って一気に24バルブのコッターを外していきます。この工具が有れば10分位有れば全てのコッターが外せます。バルブはガタなどを確認しながら外し、順番に並べた後清掃してから場所が解るようになっている専用のケースに収納します。
シリンダーは#1ピストンが首を振っていた事もあり自動的にオーバーサイズとなります。クランクシャフトも限度値まで振れが出ていますので修正してバランス取りを行います。ポートも確認してみると、エキゾースト側はある程度カーボンの噛み込みは仕方がないのですが、やはりインレット側は噛み込んでいるところとそうでもないところのばらつきが有るのが解ります。
以上で分解が完了し、これからさらに各部点検を行いながら修正を行っていきます。