CBXエンジンの7機目が完成

予想していなかった部分もありましたが、それほど大きな問題はありませんでした。

10060301.jpg

ヘッドカバーを開けて先ず目に入ってきたのが、

10060302.jpg

何でしょう、ここだけナット締めになっています。ホルダーを外していくと、

10060303.jpg
10060304.jpg

5本折損しそのうち3本が中に残ってしまい、こちらは後にヘリサート修正をしなければなりません。

10060305.jpg

カムシャフトに僅かな虫食いが見られますが、交換する訳にもいきませんし、この程度で有ればまあ問題は無いでしょう。

10060306.jpg
10060307.jpg
10060308.jpg

燃焼室やバルブ廻りにもかなりカーボンの蓄積が見られ、距離的にも結構走っているものと思われます。

10060309.jpg
10060310.jpg

カムチェンテンショナーのクラックはいつも通りですが、距離を走っていそうなのにシリンダー内壁には錆の痕がある。30年も経っているとその中で走っていた期間も有れば眠っていた期間も有るのでしょう、しかしこの様に一度錆が出てしまうと結構取れないものです。

さてオイルフィルターカバーを外すと、

10060311.jpg
10060312.jpg

フィルターの位置がおかしい、外すとスプリングもスプリングシートも入っていない。スプリングシートはフィルター交換の時、フィルター側にくっついていて気付かず捨ててしまうことが有ることは聞いていましたが、スプリングは流石に解ると思うのですが。スプリングが入っていないとフィルターを押しつけないのでフィルターを通らずオイルが循環してしまいます。

10060313.jpg

案の定といういか、オイルポンプのストレーナーにはスラッジやらゴミやらが沢山付着しており、ポンプの吸引力に負けてストレーナーが破けています。実質的な油圧も下がっていたと思われ、早い時点でオーバーホールをして正解だったのではないでしょうか。

そういった原因もあるのだと思いますが、クランクシャフトも限度値まで曲がっておりました。

10060314.jpg
10060315.jpg

色々問題もありましたが、使えない部品が出てきた訳ではないので通常通りファインチューニングメニュー、

・バルブ ポリッシュ、ポートのスムーシング

10060322.jpg10060321.jpg

・ピストン&コンロッドの重量合わせ/0.1g以内

10060319.jpg
10060320.jpg

・シフトドラム&フォークの一部ポリッシュ、ギヤミッションドッグ部のバリ取り

10060317.jpg
10060318.jpg

・それと最近は定番になりつつあるスターターワンウエイクラッチのリビルトとクラッチアウターのリビルトを行いエンジンを組み上げます。

 
10060324.jpg
10060323.jpg

みなさんはエンジンのオーバーホールというととても技術力が必要と思われます、勿論知識や技術は必要ですが、その作業の大半は清掃作業にとられます。それこそ外したボルトナットなど全ての部品は洗浄します。

10060316.jpg

スラッジやカーボンや汚れなどそういった物を全てきれいに落として新車状態となり、ファインチューニングはその上で行うイメージです。つまり通常のオーバーホールだけであれば自分ぐらいの知識や経験は必ずしも必要ではないと思います。

自分たちは技術を売り物にしていますので、ご依頼を頂ければ自分たちの持てる知識や技術は惜しみなくそそぎ込み、そのエンジンの持てるポテンシャルを可能な限り引き出そうと考えながら作業していきます。

ポートなどは写真を見比べて頂ければ解ると思うのですが、カーボンが着いているその下に段差が見えると思います。これら段差などを無くし吸気及び排気の流れそのものをスムースにするためにポートのスムーシングを行います。こういった作業の積み重ねを行い、エンジンの持っているポテンシャルを引き出す事が自分たちがオーバーホールを行う事に意味があるのではないか、そんな風に考えています。