冬の冷間始動性について

この時期の始動性には苦労する時があります。特に外気温が5℃を下回り、尚且つ始動するのが1か月とか間が開いてしまうと本当になかなか火が入ってくれません。

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CB750F、CB900F、CB1100F、CBXと排気量や気筒数は違えどエンジンやキャブレターの根本的な構造は同じなのですがCBXは特に始動性が悪化する傾向がある様に感じます。これにはいろいろ要因はあるとおもうのですが、、、続きはコチラ!

まずは各気筒排気量とキャブレターベンチュリー径を比べてみると、

CB750F:187cc/Φ30  CB900F:225cc/Φ32  CBX:175cc/Φ28

とまあそれぞれの排気量に合ったベンチュリー径になっています。がしかしボア・ストロークを比べてみると、

CB750F:62x62  CB900F:64.5x69  CBX:64.5x53.4

CBXだけが異様にショートストロークなのが解ります。ショートストローク化はピストンスピードを抑えられるのですが、このストローク量が始動性にも起因しているのではないかと考えています。

また、このケイヒンキャブレターは高年式車両のキャブレターとくらべて霧化特性が良いとも思えず、ましてやチョークといってもバルブを閉じて流入空気量を制限するだけなので低温始動時は多くのガソリンを吸い込んでも霧化出来ず液体のまま燃焼室に入ってしまい火が入らない。キャブレターにバイスターター回路でもあれば始動性は確実に良くなるのですが、、、。

そして意外な盲点がガソリンの質も変わっているということ。80年代初頭のガソリンと現在のガソリンでは確実に質が変わっています。成分的に何がどうとというのは解りませんが、体験的にその違いは感じていて、今のガソリンは条件が悪いと3ヶ月も経てばキャブレターの中に残っているガソリンは完全に腐ります。ということは1週間でも1ヶ月でも劣化し始めているのは確かなのでさらに始動性の悪化を招く。

では根本的な対処方法は無いのかというと、ノーマルである以上構造的な対処は難しいです。もちろん火花を強くすれば改善はしますが液体のまま入ってきてしまったガソリンに点火することは出来ません。

しかしながらガソリンの特性上、温度に対する霧化(気化)性の変化が大きく、特に低温域の1℃2℃の変化は始動性に直結していきます。

もし久しぶりに始動しようとする場合、前日から車体を暖めるとか始動前にキャブレターやインマニ付近をドライヤーで暖めるとかすると確実に始動性が向上します。コンセントが近くにあれば車体カバーをかけて前日からその中をヒーターとかアンカなどで暖めたりも出来ます。

なんとも原始的な対処方法ですが、温度を上げる事が確実に始動性と直結するのです。

でも1番の解決方法は頻繁に乗る事ですよね。以前、パーツテストの為にCBXで通勤していたことがありまして、片道6kmぐらいしかないのですがそれでも毎日乗っているとどんなに寒い朝(といっても東京なので氷点下になることはめったにありませんが)でもあっけないぐらいセル1発で始動してました。