CB1100(SC65) エンジンフルオーバーホールNo.4
今回SC65のエンジンをオーバーホールするとき、スロットルボアが小さいと感じました。ピークパワーを狙うエンジンでは無い事は解るのですが、それにしても小さい。
腰下が1300SFならピッチも同じだろうし、インシュレーターを何とかして1300SFのスロットルボディを付けてインジェクションコントローラーで補正すれば、、、、なんて事を直ぐに考えてしまいます。
SC65の組立に入ります。メインスタッドの付け根ですが、少し奥まっていますが、長く走行するとここにゴミや砂が溜まりCB1100Fなどと同じようにシリンダーが抜けなくなる可能性がある気がします。
空冷ではある程度仕方ない部分ではあると思うのですが、何か対策方法は無いですかね。
内部洗浄も行い、綺麗な状態で組み始めます。クランク、ミッションと載せて、
コンロッドを入れて締結します。何度も書いておりますが、コンロッドを締める時は傾いてメタルを潰さないようスラスト方向に入る一番厚いシクネスゲージを挟んでから締め付けます。
ケースアンダー部分にシフト廻りを取り付けてクランクケースを合わせます。
バランサーがありますので、その位置を確認しながら合わせ、締め付けます。
エンジンを起こし上側からのボルトを締め付け、ピストンを入れていきます。
ピストンリングが最近のエンジンの様に薄くフリクションの少ないタイプですので、シリンダーを被せる時には最新の注意が必要です。
ヘッドの準備をします。バルブを入れ、スプリング、リテーナーを仮組し、インストーラーでコッターを填めて行きます。シングルスプリングなので軽く押し込めるのですが、インナーシムのためコッター部が奥まっていて少々インストーラーでは入り難かったです。
ヘッドを載せ、メインを締結します。
シートカットを行っているのでバルブクリアランスは全て狂っているので、始めに薄いシムを入れてカムシャフトを取り付けます。
クランクを数回転させ、シムを馴染ませたところでクリアランスの測定、シムを入れ替え再度同じようにしてから測定し、基準値内であれば完了。一回で決まる事は少なく、最低2回は行う事がほとんどです。クリアランスもただ単に基準値内では無く一応狙いがあるので、可能な限り詰めようとするとどうしても一回では終わらないのです。
その他クラッチやシフトリンケージ廻りを取り付ければ完成です。
一応エンジンの脱着はヘッドカバーを付けた状態で出来る事になっているし、実際外す時は付けたままで行ったのですが、あまりにクリアランスが無く苦労してしまったので、搭載するときはヘッドカバー無しで載せました。ヘッドカバーだけなら車載状態でも簡単に取り付けられるので、この方が安全と判断しました。
既にオーナー様により走り初めており、感想を伺ったところ明らかに違いは解るとの事です。振動が少なくなり、ピックアップが鋭くメリハリがついたとの感想を頂きました。
CBXやCB-F等は経年劣化が大きい場合がほとんどで、オーバーホールすればその違いは解るのが当然と思っていたのですが、今回のように劣化も少なくしかもHONDAのエンジンで何処まで違いを体感出来るか自分でも興味がありましたが、やはりライン組より手組でファインチューニングを施せばその違いは有ると解ったので一安心です。
また、カーボンの蓄積などはノーマルよりも少なくなるはずですので、この良い状態がオーバーホールしてないエンジンより長く続くと考えています。
次回はその症例をご紹介出来ればと思っています。