HONDA CBXエンジンオーバーホール(O)その1

今回は京都から持ち込みを頂いたCBXのエンジンフルオーバーホールを行います。

オーバーホールすると決めたきっかけとして、#3が燃焼しないとの症状がありましたが、よく見ると、

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キャブレターが正しく奥まで入っておりません。キャブを置くまで入れ、プラグ清掃しましたら#3にも火が入る様になり改善はしたのですが、テスト走行をするとやはりかなりバランスが崩れている様子でした。

一番の懸念材料は解決したのでオーナーとご相談させて頂きましたが、予定通りオーバーホールを行う事で決定し作業を進めます。

先ずは各部を点検しながら分解作業を進めていくと、いろいろ不具合が発見されてきました。

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テンショナーBアジャスター部はプラグが無く適当なボルト・ナットが入れられています。

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スプロケを外すとクランクケースのスプロケ廻りが欠けていて打痕もあります。幸い内部に届くクラックは無い様なのでケースはこのまま再使用する事にしました。しかし付いていたスプロケはF用でオフセットが違いますのでこちらは交換です。

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何故こういう事になっているのか、本来プライマリーシャフトのに入っているオリフィスがブリーザーの穴に刺さっています、、、、。

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シフトケースを外すとプライマリーチェーンガイドの一部が転がっています。

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 フィルターケースを外すとスプリングの位置とフィルターの位置が逆で、この状態ではオイルフィルターを通らずオイルが循環してしまいます。

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プライマリーチェーンテンショナーのワンウエイバルブが破損しておりました。このチェックバルブが破損しているとなるとチェーンの反動を押さえられていなかったはずで、

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このオイルパスチューブに当たっていた事からもかなりチェーンは踊っていた物と考えます。

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フィルターを通らなかったせいか一時減速ギヤ内側のスラッジも相当に蓄積しておいりました。

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クラッチアウターを外すとバックプレートのリベットが溶接されており、中の状態も心配だったので分解する事に。

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どうやらガタを止める為に開けたようですが、ラバーを交換せずラバーの廻りに薄い鉄板みたいな物を挟み込んでおりました。ここはラバーを交換しRemotionで行っているとおりハードアルマイトからかけてリビルトする事になります。

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プレッシャープレートにも溶接痕が、、、、

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いやいやこんな状態だったとは、テスト走行の時に何もなくて良かった。

色々ありましたが最後にもう一つ、一番頭を悩ませた事があります。

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まあシリンダーライナーが錆びているぐらいもういつもの事なので何も悩みはしないのですが、

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シリンダーの高さが左右で違う、、、、つまり面が斜めになってしまっている。その差0.35mm。

まず厳密に言うと#1から#6まで圧縮比が違っているはず、しかもクランクシャフトに対してヘッドが斜めになってしまうためカムチェーンにも少なからず影響がある。通常シリンダーヘッド上面は歪みを取るため僅かながら面研しますが、それは0.1mm削るかどうかといったレベルで0.3以上面研したらたぶんテンショナーを入れる事が出来なくなるしバルブタイミングも狂ってきてしまう。

もうこの部分に関しては目をつむって組むか、何か中古でもシリンダーを用意するか、その二者選択しか無いようです。

いや、最近にしては珍しいぐらいいろいろ不具合を抱えていたエンジンでした。キャブを入れただけで渡してしまったらその後何があったか解らなかったし、本当にこのタイミングでオーバーホールして良かったと思います。