3機目CBXのエンジン完成
続いて3機目です。
通常のオーバーホールと塗装も含めて全て綺麗にするメニューの予定でしたが、、
先ずシリンダーを外すと、内壁に錆が残っています。指で触ると明らかに段差も付いている。このエンジンも、多少調子は悪くオイル消費も多いとはいっても走行していたエンジンなのですが。バルブフェースの燃焼室側や燃焼室そのものにもなにやら不純物を燃焼していた痕跡が見られます。走行中シリンダーの錆を掻き上げて燃焼していた模様です。
ひっくり返してオイルパンを外すと、一箇所補修痕があります。欠損部分に充填剤の様な物で補修してあり、その対策を考えながら分解を進めていきました。
クランクシャフトの振れを測定すると0.13mmも出てしまい、しかも中心部分から外のジャーナル部分でも同じぐらいの測定値が出て、捻れも大きい事が判明。ここまで大きくしかも捻れも大きいと修正して正規な値まで戻せるか、難しいところ。この時点で宿題を二つ抱えてしまいました。
シリンダーの方はというと、0.5mmオーバーサイズに合わせてボーリングをするも錆が取りきれない。
自動的にピストンはWISECO3mmオーバーとなってしまいました。 クランクケースは溶接して面出ししてとも考えたのですが、熱に依る歪みを考えると広範囲に渡っての溶接は出来ない。充填剤系での修正は、強度的に問題無くてもオイル滲み等は完全に止める事が難しい。それにこれだけのコストをかけてエンジンをオーバーホールし綺麗にするのに何らかの不安材料を残して組み上げる事も絶対に出来ない。色々と考慮し、オーナー様とも相談した結果クランクケースとクランクシャフトを交換する事になりました。勿論中古ですが丁度手に入ったので、それを使用して塗装し直し組み上げるという方向で作業を進め、ついでに80年式のプライマリー廻りも仕入れ音対策も施し、何とか完成です。
今までもシリンダー内壁が錆びているのは何度も見たことがありますが、0.5mmオーバーで錆が取りきれなかった事は初めてです。それに今回はクランクケースやシャフトが手に入ったから良かったですが、中古部品も年々厳しい状況にある中、今後完全なオーバーホールと言うのが本当にコストがかかる様になってくるのかもしれません。