フロントフォークの考察
※ノーマルフロントフォークについて
・ブレーキング時に沈み込みが大きい、コーナリング時に落ち着きがない等感じられたことはないだろうか。あるいはブレーキング時にギャップを乗り越え跳ねて怖い思いをしたことがないだろうか。
ノーマルのフォークをいろいろ分解してみるとそのほとんどがあまり圧側の減衰を効かせていない。40パイ以下のフォークや古いオートバイなどのピストンロッド式に至っては圧側の制御すらしていない状態です。
つまり、ブレーキングにしろギャップ通過時にしろその沈み込み量はスプリングとの釣り合いに依るところが大きくなります。
しかし物には必ず慣性というものが有ります。
ここでちょっと頭の中でオートバイの動きを想像してみましょう。
・先ずブレーキング時
直進状態からフロントブレーキをかけるとホイールは止まろうとしますが、車体は動き続けようとします。この力がフォークを沈み込ませるのですが、慣性がついているため減衰力が無いとスプリングの強さと本来釣り合いが取れるところよりも更に沈み込んでしまいます。また、ブレーキをかけてもフォークが縮んでタイヤを押しつけ無いと減速出来ないため、フォークが沈むまで時間遅れてしまいます。
ではこの状態でギャップを拾ったらどうなるでしょう?そう、ストロークに余裕が無い分跳ねやすくなってしまいます。
・コーナリング時
一般道の路面は荒れている事も多く、またそれがサーキットの様な場所でも小さなうねりは必ず有ります。それらを通過する際圧側の減衰が効かないと、今度はホイール自体に慣性が付いてしまい頂点を過ぎてももっとフォークを縮ませようとし、これが接地感の無さや不安定さになります。
如何でしょう、想像出来ましたか?
巷でよく売られているフォークスプリングでプログレッシブレートの物があります。「奥で踏ん張る」等という事が言われていますが、では上記の様な状態の時こういったスプリングに交換したら改善されるでしょうか?コーナリング時は多少改善されるかもしれません(ハンドルは振られますが)、しかしブレーキング時は確実にレートが上がった分症状は悪化します。
何故ノーマル状態では圧側の減衰を効かせて無いのだろうか。
・フロントフォークがその車種専用設計ではない。
・路面からのインフォメーションが増えるが、それを「硬い」と思われてしまう。
・万人に受け入れられるよう作られている。 等々、、、
たぶんコーナーもほとんど攻めず、のんびり走るだけで有ればノーマルがよいと思う。
しかし多少なりともスポーツ走行をしようと思ったらノーマルセッティングではあまり良い結果は得られないだろう。